釣月軒

音楽や俳句を考えます。記事の題名欄に拙句を載せています。

2016年6月のブログ記事

  • 客二人煙草を交はす春眠し

    西成の喫茶店で4月の終わりに詠んだ句である。 春は眠くなる。 おもひ出て酢つくる僧よ秋の風 蕪村 そうや、酢を作ろう、と思う僧がいる面白さ。

  • 涼しさや窓の黒さに人の音

    漱石の 草枕 を久々に読む。 さいごの『それだ!それだ!それが出れば画になりますよ』は、やはり爽快。 寒き夜の銭湯遠き場末かな 子規

    nice! 1
  • 茶坊主といふ言葉可笑し夏の雨

    朝、パン屋でコーヒーを飲んでいると、雨が降ってきた。ふと、茶坊主という言葉が浮かんだ。 嬉しさや夏の美人は雨の中 飛鳥 美人は良いもの。 な折りそと折りてくれけり園の梅 太祇

    nice! 2
  • なまぬるき胃のあたりかな夏の雨

    知り合いの坊さんは独身である。昔仕事場で出会った娘と付き合ったが、坊さんはやがて高い金を払って出家した。その時、坊さんは、おれは一生結婚しない方の坊さんになるから、お前さんは良い旦那さんを貰いなさい、と言って、娘は悲しがったそうな。坊さんはもう六十を越している。例の娘さんもそのくらいだと思われる。... 続きをみる

  • 猫の腹破りて暑し夏の蠅

    暑い日である。 服部の町が、最近どうも合っている。一昨年は池田の駅前がぴったり来ていて、よく歩いた。 私にとって本物の 町 は都島である。あそこは素晴らしい。都島の朝焼けと夕焼け。深夜の道路をタクシーとファミマのトラックが走る様。珈琲店。銭湯。スーパー。インド料理屋。焼き鳥屋の煙。 暫時は瀧に籠る... 続きをみる

    nice! 1
  • 春の宿人の声する畳かな

    この句は先月初め、とある安ホテルに泊まった夜に作った。4階の狭い畳張り。一階で、外国人が大勢話していた。私は寝転んで風呂でも入るかなあとか思っていた。 あたたかな雨が降るなり枯れむぐら 子規 これほどの句の作者を間違えて記憶していました。この句の作者は虚子でなく子規でした。失礼致しました。

    nice! 1
  • 夕凪や水路を覗く子供達

    良い本に巡り合うと生きていてよかったと思う。良い人に出会うと感動する。たまたま入った喫茶店でモーニングセットが豪華だったりして嬉しがったり、銭湯で湯船に浸かった途端その夜の計画が一気に頭に出来上がって喜んだり。何事にもそれぞれの味わい方があるのですねェ。 うは風に音なき麦を枕もと 蕪村

    nice! 1
  • 梅雨空やしずくのひとつ京の端

    ものを考えるには歩きながらが良い、という話を色んなところで聞く。私はそれを忠実に守って、歩きまくって、歩くのが好きな人になった。しかし家の中で、狭い空間にどしぃと止まっているのも良い。今日は特にそのことを感じた。 取り逃す隣の声や行く蛍 太祇

    nice! 1
  • 近き屋根遠き屋根屋根夏の暮

    無知というのは恐ろしい。私は高浜虚子をろくに知りもせずに、人の言葉を間に受けて軽視していたけれど、この人は凄い人だ。 遠山に日の当りたる枯野かな 虚子 能すみし面の衰へ暮の秋 同

    nice! 1